STM振動試験

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2017年10月10日~10月14日

てんこうSTM振動試験・衝撃試験を行いました。(※STM・・・Structure Thermal Model)

試験の内容は,

  • Modal survey試験

各試験前後で衛星の構造に変化がないかをチェックする,0.5Grms程度のランダム振動です。

衛星やコンポーネントの固有振動数や応答が分かります。

  • サインバースト試験

ロケット打ち上げ時にかかる準静的荷重を再現し,その準静的加速度荷重を衛星に負荷するための試験です。

一定の周波数で一定の値の加速度荷重を10サイクル程度負荷します。

てんこうの場合は20HzでウンGの加速度荷重を負荷しました。

(規定の加速度を公開するのは念のため自粛します。。。)

  • 正弦波振動試験

ある一定のスピード(○oct/min)と一定の加速度荷重 (G) を5~100Hzの間で周波数を変化させながら

振動させる試験です。リフトオフ時や第1段燃料タンク分離時などに生じる振動を模擬したものです。

※oct/min(掃引速度)・・・oct=octaveです。octaveは周波数が2倍になるという意味で,oct/minは1分間当たりどのくらい周波数が変化したか?をあらわしています。

5Hz → 10Hzはlog2(10/5)=1octave,  10Hz→20Hzもlog2(20/10)=1 octave, すなわち5Hz→20Hzはlog2(20/5)=2 octaveということです。

たとえば,2oct/minだったら,1minで周波数は22=4倍になります。

また,5~100Hzはlog2(100/5)=4.32192… octaveなので,5→100Hzは2分ちょっとで終わることになります。

  • ランダム振動試験

 その名の通り,ランダムに加振する試験です。ロケットの音響環境により生じるそうです。

ランダムといっても,どのくらいの強さのランダムなのか?は以下のようなパラメータできちんと決められています。

加速度実行値・・・Grms(root mean square)とよく表記されています。

平均値に少し似ていますが,ランダム振動の時間平均は0Gになります。

平均値の代わりに全部の値の二乗をとって時間平均し,二乗根をとったものが実効値になります。

PSD (Power Spectrum Density)・・・加速度密度と呼ばれ,本試験ではG2/Hzという単位を使っています。1Hzあたりの加速度のパワーをあらわしています。

本試験は主に,

・てんこうの構造体がH-2Aのロケットの振動環境に耐えられるかどうか

・ロケット側からの要求事項の一つである「剛性要求」を満たしているか

等を確認し,次のEMフェーズへと移れるかどうかを確認します。

 

剛性要求は主に,衛星のX軸方向(縦方向)の固有振動数が100Hz以上,

Y,Z軸方向の固有振動数が50Hz以上であることが規定されています。

 

てんこうSTMは剛性要求をクリアしましたが,アクセスパネルが50Hz付近でびびる等,

より信頼性の高い衛星にするため,少し設計変更が必要であることがわかりました。

 

他にも,振動試験を正確に行うためのチェックリストをより詳細なものにする必要があり,試験を行うにあたって学ぶべきことが沢山ありました。

 

振動試験の様子です↓↓↓

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 X軸(ロケット機軸方向)の試験です。  Y軸(ロケット機軸方向)の試験です。90度回転させて,Z軸も行います。
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 軸変えの様子です。クレーンで衛星を吊っています。  配線は加速度センサから伸びているものです。全部で24chあります。

 

 

 

 

 

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