ミッション概要

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1.実施体制

図5

図4

 

2.意義

 

3.目的

月軌道(約38万km)付近における地球―宇宙機関の相互通信

月周回軌道上に月面探査ロボットを投入する技術,月サンプルリターン技術などの月ミッション実現のための基礎技術の獲得を目指すものである.例えば,月軌道上にある探査ロボットなどを動作させることを想定し,所定の距離に達した時に地上からスケジュールプログラムを送り宇宙機に記憶させた後,スケジュールを起動してスケジュールに従った動作を行わせ,動作結果を地上に送り返す.

 

300 km の深宇宙に至る超小型探査機との通信技術を確立

月面反射通信のノウハウを応用し,深宇宙での宇宙機の動作状態の確認を行う.月軌道付近までは,アマチュア無線業務に供する宇宙機搭載通信装置(トランズポンダー系通信装置)を用いて広くアマチュア無線局による相互通信を行う.宇宙軌道以遠では,宇宙機から送信されるテレメトリデータおよびモールス信号によりできるだけ遠距離での信号検出実験を行う.

 

 炭素繊維強化熱可塑樹脂(CFRTP)による宇宙機の製作と宇宙利用実証

金属材の溶接と同様に複合材を溶着接合できる炭素繊維強化熱可塑樹脂CFRTP を世界で初めて宇宙利用する.このCFRTP を用いることでボルトやリベットなどの金属ファスナー使用を劇的に減らすことができる.これにより,衛星の軽量化,構造信頼度の大幅向上を実現できる.また,「ほどよし衛星」の研究成果を積極的に活用するものでもある.
しんえん2の構体はCFRTPを利用しており、樹脂はPEEKを採用した.

図7

炭素繊維強化PEEK樹脂複合材を用いたしんえん2の構体(PEEK/CFRP)

 地球からバン・アレン帯を経て月に至る宇宙空間,およびそれ以遠の宇宙放射線の種類と分布の計測

しんえん2には深宇宙空間における放射線計測を行うためのセンサ―を搭載している.
この放射線センサ―は,米航空宇宙局NASAのジョンソン宇宙センターとテキサス州立のPrairie View A&M Universityおよびネバダ州立大学(The University of Nevada)によって開発された.
このセンサ―を用いて地球からバン・アレン帯を経て月に至る宇宙空間,およびそれ以遠の宇宙放射線の種類と分布の計測する.

図8

 NASA,Prairie View A&M UniversityおよびThe University of Nevadaによって開発された宇宙放射線センサ―

 4.サクセスレベル

■ ミニマムサクセス

(1) 月軌道周辺にある超小型宇宙機との通信技術獲得月軌道周辺にあるときに地球と確実に通信できる技術を確立することである.地上局は世界中のアマチュア無線局と連携し,彼らのアンテナを使用する.

(2) 超軽量衛星構造の開発技術確立熱可塑性CFRP を用いてボルトやリベットなどの締結金具の使用を徹底的に削減させた衛星構造の開発技術の確立もミニマムサクセスの一つとする.なお,この衛星構造は直径約500mm の球形であり,深宇宙空間における熱収支をできる限りシンプルにしている.

(3)しんえん2は,米航空宇宙局NASAのジョンソン宇宙センターとテキサス州立のPrairie View A&M Universityおよびネバダ州立大学(The University of Nevada)によって開発された宇宙放射線センサ―を搭載している.このセンサ―を用いて,地球からバン・アレン帯を経て月に至るまでの宇宙放射線の種類と空間分布を計測する.

■ フルサクセス

(1) 38万km~約300万kmの通信技術の獲得「深宇宙通信実験機」が約38 万km から約300 万km にあるとき,宇宙通信を試みる.これにより,宇宙通信の限界距離を把握する.

(2) 38万km~約300万kmの深宇宙空間における宇宙放射線の種類と分布を計測する.

■ エクストラサクセス

(1) 300万km以遠の通信技術の獲得実験機が約300 万km の深宇宙にあるとき,直径30m の大型アンテナを用いても困難であると予想される.このため,実験機から送信される電波を約1 分から約2 分の間積分し,その蓄積データを処理することで超小型の深宇宙通信実験機と地上との通信技術を確立する.

(2) 約300万km以遠の深宇宙空間における宇宙放射線の種類と分布を計測する.

 5.全体システム

図9

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