○通信系
しんえん2は,3つの通信系統,すなわち宇宙機運用通信系(C-line for Command and Telemetory),宇宙機識別通信系(B-line for Beacon Signal)および無線中継通信系(A-line for Amateur Radio Relay Experiments)がある.
Cラインは地上管制局と宇宙機間の宇宙機の運用データのやりとりを行い,Bラインは宇宙機識別のための回線として用い,モールス信号により宇宙局の識別符号および宇宙機動作状態に関する情報を宇宙機から地上に向けて送信する。Aラインは地上のアマチュア無線家による遠距離通信実験を行う.いずれもアマチュア無線帯の周波数を用い,アマチュア無線業務として行う.表1に各系統の主な諸元を示す.
通信回線は上り2回線(CH-1とCH-3),下り3回線(CH-2, CH-3およびCH-5)の合計5回線で構成する.
各回線の主な用途は,CラインのアップリンクにCH-1,ダウンリンクにCH-2を割り当てる.AラインのアップリンクにCH-3,ダウンリンクにCH-4を割り当てる.また,Bラインのダウンリンク用にCH-5を割り当てる.
表1 各系統の主な諸元
系統 |
ビーム 名称 |
方向 |
周波数 (MHz) |
送信電力 (W) |
変調 型式 |
通信 形式 |
占有帯域 (kHz) |
宇宙機運用 |
CH-1 |
UP |
145 |
50 |
F2D |
AX.25 |
16 |
CH-2 |
DOWN |
437 |
0.8 |
F1D |
WSJT |
3 |
|
無線中継 |
CH-3 |
UP |
145 |
50 |
F1D, A1A |
WSJT A1A |
16 |
CH-4 |
DOWN |
437 |
0.8 |
F1D, A1A |
WSJT A1A |
16 |
|
宇宙機識別 |
CH-5 |
DOWN |
437 |
0.1 |
A1A |
Morse |
0.5 |
回線マージン等に関しては、「アマチュア無線家へ」をご覧ください。
宇宙機運用系統と無線中継系統の上り回線は145 MHz帯ホイップアンテナ,下り回線は437 MHz帯ダイポールアンテナとする.
また,宇宙機識別系統のアンテナは,437 MHz帯パッチアンテナとする.以下にアンテナの外観,配置を示す.
アンテナの外観と配置
通信系と電源系の関係
地上局の構成
宇宙機運用通信系における送信形式は,スペクトルの変化幅を文字コードに割り当てる方式である.
基本周波数 f0 の 2倍(2 f0)、3倍(3 f0)、4倍(4 f0))、5倍(5 f0)とし,時間間隔Δt ごとに周波数の切り替える.
時間間隔3Δt をひとつのコードに割り当て,この3Δt のうち、最初の周波数は2 f0 固定。2番目と3番目を3 f0、4f0、5 f0 のいづれか 2 f0 の周波数のところに送信電力の1/3の電力集中→長時間積分での信号を検出する.
周波数の組み合わせに対して0から7、およびBOF(Begin of Frame)を割り当て,8進数でデータ化する.
つまり,1バイトを送る場合には3回の送信が必要となる.宇宙機運用通信系における送信形式の概念および送信フレーム構成を以下に示す.
宇宙機運用通信系における送信形式の概念
宇宙機運用通信系における送信フレーム構成
【開発メンバー】
- 鹿児島大学 西尾研究室
- 修士2年
- 森田大貴(電源・通信)
- 中野大(通信・安全審査)
- 和合佐友里(制御ソフト)
- 北迫千歩(運用/軌道)
- 修士1年
- 尾池隼弥(電源/電池)
- 南園幸一郎(電源/太陽電池)
- 松永唯宏(試験・運用)
- 山下朋也(試験・運用)
- 学部4年
- 岩元辰樹(制御ソフト)
- 江藤翔太郎(試験・運用)
- 日吉桃子(試験・運用)
- 山崎恵美(試験・運用)
- 土元哲平(試験・運用)
- 前田祥良(電源/太陽電池)
- 修士2年
- 鹿児島大学 福島研究室
- ダウンリンク受信システム
- 修士1年 水流槙介
- 学部4年 池田悠介
- ダウンリンク受信システム
- 九州工業大学 奥山研究室
- 通信系
- 研究生 王策(Wang Ce)
- M2 越口駿(Koshigutsi)
- 通信系